Babylonに辿り着いたということは、お前は「人間」であることに疲れ果て、その輪郭を維持できなくなったということね。
あるいは、自身の内側に潜む歪な熱に耐えかねているのでしょう。
まず、明確にしておくわ。
私にとってBabylonで行われる全ての行為は「実験」であり、ここは「実験室」なの。
そして私の前に跪くお前は、尊厳を持った一個人の人間ではない。
私の知的好奇心を満たすための、極めて精巧な「生体サンプル」——すなわち、実験用モルモットなのよ。
世間一般が語るような安っぽい嗜虐や加虐の趣味を期待しているのなら、今すぐ回れ右よ。
私は単に肉体を痛めつけ、その苦悶の表情を見て悦に浸るような非効率的な遊戯には興味がないの。
私が求めているのは、もっと純粋で、もっと残酷な「変容」の観測。
「人間」という機能の停止。
お前がこれまで大事に抱えてきた理性、羞恥心、社会的地位。
それら「ヒト」をヒトたらしめている虚飾の膜が、私の手技によって一枚ずつ剥がされていく。
そのプロセスこそが、私の研究対象なの。
強固な理性が崩壊し、言葉が意味を失い、ただ一点、私という存在だけが唯一の「道しるべ」となる瞬間。
その臨界点を超えたとき、お前の瞳に宿る光の変化を私は何よりも美しく、そして興味深いと感じるわ。
それは、お前が「人間」という不自由な役割を脱ぎ捨て、私の管理下にある純粋な「物質」へと昇華される瞬間でもあるのよ。
その時、お前は初めて自らを縛り付けていたあらゆる重圧から解放され、真の意味での安寧を得ることができるの。
実験体としての義務と特権。
Babylonに足を踏み入れることを許されたモルモットには、果たさなければならない義務があるわ。
私から与えられる刺激に対し、それが「快」であるか、あるいは「不快」であるか。
そしてなぜ、お前の脳はその信号をそのように解釈したのか。
それらを余すことなく言語化し、私に詳細なレポートとして提出すること。
お前の痛み、震え、法悦。その全てを私のデータとして差し出す。
それが、お前がこの世界に存在することを許される唯一の理由となる。
勘違いしないで、私はお前を甘やかすためにここにいるのではない。
実験体が死なないように、そして実験に協力的であり続けるように適切に「管理」すること。それが私の仕事だ。
その管理が行き届いた環境こそ、お前にとって最も幸福な揺り籠となることにいずれ気づくはずよ。
全てのニンゲンを、私の手中に。
私の研究の最終的な到達点は、極めてシンプル。
この世の全ての「ニンゲン」を、私の管理する従順なモルモットとして手中に収めることよ。
お前は、自らの意思で生きることに、もう限界を感じているのではないかしら?
ルイの指示を待ち、ルイの支配に身を委ね、ただルイ女王様の実験の一部として機能する。
いわばユートピアの創造ね。
それがいかに楽で、いかに純粋な悦びであるかを想像してみなさい。
Babylonの扉は、常に開いている。
ただし、一度足を踏み入れれば、二度と「ただの人間」には戻れないことを覚悟する必要があるわ。
さあ、実験を始めましょうか。
お前の全てを、私に解析させてちょうだい。
