よく街で、ある香りを嗅いで記憶が蘇って来たことが貴方たちにも経験があるんじゃないかしら。
例えば昔好きだった女性の香り。
失恋した時に最後に吸った煙草の匂い。
夕暮れ時、通り過ぎる家々から香る夕食の匂い。
香りというものは、その人の記憶を支配し、その記憶を一瞬にして引きずり出す効果があるものだと考えている。
私にとって香りというものは、すごく重要なものだと認識していて、男性が愛した女性がつけていた香水を一生忘れないように、自分が好きな香りを嗅ぐと脳が瞬時にその時代にタイムスリップさせてしまうなんてこともある。
学生時代もそうよね。あの絶妙に冷たいプールの塩素の匂い。放課後のグラウンドの芝生の青い香り。体育館のあの汗と木の入り交じったモワッとした匂い。
話は逸れるけど、私は香水フリークで様々なブランドの香水を20種類以上使っている。
でも香水には消費期限があるから、使わないと香りが劣化していって開封直後の香り本来の良さがなくなってしまう。
でも私は十何プッシュと体に香りを纏ってから出かけるからそんな心配はないのだけれど。
最近、お気に入りの香水が見つけたからいつかデパートにそれを買いに行こうと思ってるの。
あとここ数週間の私のマイブームはお香。
部屋でお香を焚いて、タバコをくゆらせて自分自身を見つめ直す時間。
または他のことに思いを馳せ、考えをまとめる時間。
そんな時にすごく有効なのが、例えば精神的に疲れている時、浄化されたい時は日本古来の製法で作られた白檀の香りを。
甘美な気持ちになりたい時はイランイランの香料が入ったお香を。
ココナッツやジャスミンは甘い香りでリラックス効果をもたらしてくれる。
そのように、日々沢山の種類のお香を使い分けているの。
でも残念ながらお香いうものは30分ぐらいで燃え尽きてしまうの。
だからわたしの家にはお香を山ほどストックしている。
まるでお香中毒者のように。
まあ私はニコチン中毒者でもあるのだけど。
でもね、京都や淡路島で作られた本格的なお高い白檀のお香とは違って、リラックス用の、それこそ娯楽用ならみんな大好きドンキホーテでお安く売っているから、私はそれを箱買いして絶対に切らさないようにしているの。
さて、ここで私が思いついたことなんだけど、プレイにお香を取り入れるっていうのはどうかしら?
今まで私はスピーカーで甘美な音楽を流して、雰囲気を作ったり、様々な試行錯誤をしてきた。
でもお香を焚くといった試みは、まだしたことがないの。
甘美な香りで支配された密室はどんなものなんでしょうね。
貴方たちは、視覚も聴力もそれに嗅覚も支配され調教され始める。
きっと最高のプレイになると私は確信しているわ。
だから今度私がプレイするときには、私が大好きなイランイランを含有したお香を持って、それを焚きしめながら甘美な時間を過ごしたいの。
きっと素敵で官能的な時間になるに違いないと思うわ。
どうかしら。興味が湧いてきたでしょ?
私のむせ返るような香水の香りと、温室のような密室の部屋に充満する甘いお香の香り。
私と貴方は2人きり。
貴方の理性はそれに耐えられるかしら?
でも私はそれが愉快で仕方がない。
貴方は私に全てを支配されて、そして蕩けるようなSMができたら、それは最高のプレイとなるでしょう?
人間として生きていくなら、常に進歩していたい。
同じ場所にいるのは進歩ではなく停滞だと私は考えている。
だから常に新しい試みをしていきたい。
少しでも興味があったらいらっしゃい。
私と共に、むせ返るような香りの密室で淫靡な快楽を貪りましょう。
どうかしら。
あら、貴方劣情が昂ってきてるわよ?